本日、329名の新入生を迎え、入学式を行いました。
新入生の皆はやや緊張した面持ちで式に臨み、学校長、理事長の話に聞き入っていました。新入生代表の抜井亮瑛さんの宣誓では、入学への決意が力強く述べられました。
和太鼓部からは、入学を祝して演奏が贈られ、華やかな雰囲気の中、式は無事に終了しました。
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
これから、本校で充実した高校生活を送ってください。
左:学校長式辞 右:理事長告辞
左:新入生代表宣誓 右:在校生代表歓迎の言葉
左:祝い太鼓 右:ホームルームの様子
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平成31年度 入 学 式 式 辞
校長 安元祥二
新入生の皆さん、ご入学、おめでとうございます。
桜満開、春爛漫の季節に、『329』名の新入生の皆さんを、お迎えしています。
本日、学校法人関西金光学園「金光藤蔭高等学校」、平成31年度入学式を挙行いたしましたところ、公私ご多用の折にも関わりませず、ご臨席を賜りました皆様、
「金光教関係の皆様、理事長を始め学園関係の皆様、出身中学の先生、連携の専門学校のご代表様、本校近隣の地域役員の皆様、そして本校同窓会・PTA・藤親会、旧職員の皆様」、 皆様には、生徒の入学を、心ひとつにして、盛大にお祝いいただきますこと、心より御礼を申し上げます。
また、保護者の皆様には、高い席からではございますが、
義務教育の課程を卒業し、ここに高校生活のスタートを切るお子様の、今後の可能性と精進に期待して、本日のご入学を、心よりお祝い申し上げます。
今、本校の制服に身を包んだお子様を見られ、これまで15年間のご家庭での温かい育みを思い出し、感慨も一入のことと拝察いたします。
私ども学校では、入学されたお子様の教育、学力の向上のみならず、人間としての成長、そのことに、全力で取り組みたいと思います。
ただ、お子様の成長全体を考えますと、ご本人自身の意識がもちろん必要で、ご家庭の役割は極めて重要となります。 「挨拶の習慣」や「正しい生活リズム」、「学習への姿勢」、そのことに、まずご家庭で力を入れていただくことが、本日ご入学のお子様の可能性を拡げていくことに繋がります。 どうぞ、この点をお願いいたします。
また、保護者の皆様には、学校の様々な活動の良き理解者として、担任や学年担当者と様々なことを相談し合いながら、一緒に「力を合わせて」取り組んでいただきたいと思います。 どうぞ、これから、よろしくお願い申し上げます。
さて、新入生の皆さん、本校へのご入学、誠におめでとうございます。
「金光藤蔭高等学校」は大正15年(1926年)の創立で、本年度は創立93年目となる歴史を持つ学校です。 本校は、「生徒一人ひとりを大切にする学校」として、生徒の可能性を最大限に伸ばしながら、大きく進化・発展を続けています。
校門を入るとすぐ左手に本校「建学精神」の碑があります。 建学の精神は、「天地の大徳に生かされ、多くの人々に育てられていることに感謝の念を持ち、社会でお役に立つ人間となる」ことです。
ところで、皆さんの入学にあたって、私が皆さんに最も期待したいことは、これからの3年間の「心の成長」です。
「過去は変えられない、しかし未来は創っていける」という言葉があります。
本日から高校生としてスタートする君達に、「心を成長させ、未来を創る」ために大切な3つのことを話します。
1つ目は「目標」です。
しっかりとした前向きな「目標」を持つことが大切です。 その目標は、自分を伸ばし、自分を社会の中で役立てる目標でなくてはなりません。 そして、その「目標」に向けて、高校に入学した今から努力を実行することができるかどうか、それがなにより重要です。そのような前向きな「目標」を、是非持ってください。
2つ目は「学び」です。
君達はまさに成長過程の真っ只中です。 「目標」を達成するために、授業を通して学び、学校生活での様々な活動を通して学んでいただきたい。 広く・深く知識を吸収し、さらにその知識を知恵に代えることが大切です。 「学び」は身近な努力の積み重ねから始まります。 一日一日の学習の積み重ねと、友達との良い関係作りに力を尽くしてください。
3つ目は「感謝」です。
人は、決して、自分一人で生きているわけではありません。 私達は、天地自然や色々な人・物の支えによって生かされています。 周りの方々や社会に対して「感謝」の気持ちを大切にしていただきたい。 常に、自分の心を大きく開き、素直な心・優しい心・温かい心を忘れず、君達の世界を心豊かに広げていってください。
以上の「目標」「学び」「感謝」が「未来を創る」ために大切な3つです。
世の中には、物事を覚えるのが早い人・遅い人、結果を出すのが早い人・遅い人、色々なタイプの人がいます。 毎日の勉強や学校生活のことで悩んだり、行き詰ったりすることがあったら、担任の先生、クラブの先生、教科の先生、色々な先生方に相談しながら、本校の学園生活で青春の3年間をしっかり歩んでください。 そのためには、まず、「規則正しい生活と学習」からスタートです。
それでは、もう一度、「新入生の皆さん、ご入学、おめでとう!」
本校での3年間、大いに学び、大いに鍛え、大いに友情を育み、人間として大きく成長してください。 3年後には必ず、自分の将来に向けて大きく羽ばたくことができるものと、期待しています。
以上をもちまして、入学式の式辞といたします。
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平成31年度 入 学 式 告 示
学校法人 関西金光学園理事長 湯川彌壽善
このたび入学されました新入生の皆さん、そして保護者の皆さま、おめでとうございます。今日のよき日に、329名の新入生を迎えまして、光藤蔭高等学校の入学式を挙行できますことは、この上ない慶びです。
また、公私ともに何かとお忙しい中を、ご臨席を賜りましたご来賓の皆さまには、改めて厚く御礼申し上げます。
本校は、金光教の教えに基づく建学精神をもって設立された、金光教ゆかりの学園であり、九十三年の歴史を重ねた、伝統ある学校です。今日から新しくスタートする新入生の皆さんの学園生活を、ここからしっかりと見守り、サポートしてまいりたいと思います。
さて、今日のおめでたい日に際し、日頃思っておりますところを、お祝いの言葉に代えて申し述べることと致します。
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受け売りの知識ですが、動物の寿命と心臓が脈打つ回数には関係があるそうです。動物の寿命は、ゾウなら約七十年、ネズミなら二、三年というふうに、それぞれ違っています。けれども、一生の間に心臓がドクンと脈打つ回数は、哺乳類では大体同じで、約十五億回だと考えられているそうです。そして、十五億回打つと、寿命を迎えて死んでいく。ゾウの心臓はゆっくり打つので、七十年ほどかかって十五億回打ち、ネズミはペースが早いので、二、三年で十五億回心臓が脈打って、寿命を迎えるというのです。
では、これをヒトの心拍数に当てはめてみますと、どうなるでしょう。平均で四十一・五歳という結果が出るそうです。少し驚く数字ですが、そもそも人間の寿命は、長い間そのくらいだったと言います。でも、私たち現代人の平均寿命ははるかに長いわけです。この数字の落差は、一体どういう理由で起こって来るのでしょうか。
これは、本川達雄(もとかわ・たつお)さんという生物学の先生が、新聞の取材に答えて、話されていた内容です。本川さんによれば、四十二歳以降の私たちは「生物としての終わりを迎えた後(あと)の、おまけの人生を生きている」のだと、そういう言い方をされています。言ってみれば、医療技術の進歩などによって、人工的な生命体として生きているわけです。「おまけの人生」と言われますと、中高年の方にとっては、少し寂しい思いがするかも知れませんが、四十二歳をはるかに越えた本川さんは、そんなふうには思っていません。自分が勉強した生物学の立場から、「おまけの人生」の生き方を見つけたからです。
地球に生物が誕生して三十八億年、ヒトは遺伝子のコピーを繰り返して、三十八億年続いてきました。だから生物としては、自分の子や孫も、ほぼ同じ遺伝子で構成される「私」の一部だと言えるわけです。なるほど。自分の子や孫は、遺伝子レベルで言えば自分の分身であり、DNA鑑定をして親子だと判るのは、自分の分身だから判るのだと頷(うなづ)かされます。取材の中で本川さんは、おまけの人生を与えられた私たちは、次の世代の「私」のために生きてこそ、誇りを持って最後を迎えられると、提言されていました。
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生物学者としての本川さんは、ナマコの研究者だそうです。その本川さんが一人の人間としてこの世に生まれ、学校へ行って色々なことを学び、生物学者になってナマコの研究に取り組んだことは、ヒトがヒトとして受け持つべき、誇り高い役割を発見することにつながっているように思えます。本川さんが発見した、人間としての誇り高い役割とは、次の世代の人のために働くことであり、生きることです。言うなれば、他者(たしゃ)に向かうことが、生物としての人間が果し得(う)る、最も人間的で誇り高い働きだというのが、本川さんの発見だったと思えてくるのです。
さて、皆さんも今日から新しい環境で、学業に限らずたくさんのことを学んでいかれることと思います。学ぶことは、ただ自分のために知識や技術を身につけて終わるものではありません。本川さんのように、学ぶことが、他者(たしゃ)の役に立つという生き方の発見にまでつながるのです。学ぶことが、人生の指標を与えてくれ、自分の生き方も明確にしてくれる可能性があるのです。これは、日常の色々な学びから、豊かな世界が広がっていくことですが、これこそが、本学が大切にしようとする「心の成長」の姿です。今の本川さんのお話から、日常の学びを更に豊かなものに育てていきたいという、本学に流れる教育精神を感じ取っていただきたいと思います。
目には見えないものですが、皆さんの「心の成長」をいつも願っております。
そのことを申し上げて、今日の告辞といたします。